「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」――終わりのあとに続くもの
「絶滅」という言葉には、どこか冷たく閉ざされた響きがある。
けれど、その奥には、いつも“はじまり”が潜んでいる気がします。
2025年11月から国立科学博物館で始まった「大絶滅展―生命史のビッグファイブ」は、そんな“終わりと再生”のあわいを描く展覧会のようです。
会場は上野公園の中。
古い樹々のざわめきの向こうで、地球の時間がゆっくりと逆流していくような展示が始まっています。
五つの絶滅が語る、生命の記憶オルドビス紀末、デボン紀後期、ペルム紀末、三畳紀末、白亜紀末。
映画『遠い山なみの光』が映す、記憶と静けさ
カズオ・イシグロの小説を原作にした映画『遠い山なみの光』が公開されたと知りました。
監督は石川慶さん、出演は広瀬すずさん、二階堂ふみさん、吉田羊さんなど。
日本・イギリス・ポーランドの合作映画で、すでにカンヌ国際映画祭にも出品され注目を集めているそうです。
二つの時間を行き来する物語舞台は1980年代のイギリスと、戦後の長崎。
イギリスで暮らす娘ニキが、母・悦子の過去に触れていくことから物語は進みます。
悦子の口から語られる長崎での出来事には、どこか曖昧で嘘めいた部分があり、そ ...
ルイ・ヴィトン『ビジョナリー・ジャーニー』展|トランクの灯が導く、静かな旅の始まり
先日、近くの美術館の前を通りかかって、見たことのない展覧会の告知に吸い寄せられました。
タイトルは『ビジョナリー・ジャーニー』展。ルイ・ヴィトンの創業170周年と大阪・関西万博を記念して、大阪中之島美術館で開催されているそうです。
この展覧会は、12のテーマに分かれてメゾンの歴史をたどる没入型の展示とのこと。
初めに迎えてくれるのは、モノグラム和紙で包まれた巨大なトランクが吊るされた「アトリウム」と、138個のトランクで構成されたドーム像。
どちらも、まるで本のページをめくるような静かな導入になっているようでした。 ...
映画『星つなぎのエリオ』夜空にひそむ、ひとりぼっちの願い
先日、映画館の前を通りかかったとき、淡い星空と少年の姿が描かれたポスターに足が止まりました。
タイトルは『星つなぎのエリオ』。
その響きに、しばらく見入ってしまいました。
物語の中心は、11歳の少年エリオ。
両親を亡くし、居場所を探すように毎日を過ごす彼が、ある日ふと宇宙に向けて思いを放ったことから始まるそうです。
その声は異星の世界「コミュニバース」に届き、エリオは“地球代表”と誤解されながら、そこで孤独なエイリアン・グロードンと出会います。
互いに理解されずにきた二人が、言葉や種族を超え ...
すみだ水族館で「東京金魚~時代を泳ぐ、小さなミューズたち~」
ガラスの水の中を、時代がゆれる——
すみだ水族館で「東京金魚~時代を泳ぐ、小さなミューズたち~」という展示が始まったと知り、思わずその響きに心をとめました。
小さなミューズ。
水の中を泳ぐ彼女らが、どんな時代の記憶を映すのだろうと、静かに想像を巡らせました。
会期は2025年7月24日から9月30日まで。
東京スカイツリーのふもとにあるこの水族館では、季節ごとに趣向を凝らした展示が行われているようですが、今回のテーマは「金魚と歴史」。
江戸から現代まで、金魚という存 ...