『成瀬は都を駆け抜ける』物語の最後に流れる風
本には、ページを開いた瞬間にだけ流れる“その物語だけの空気”があります。
宮島未奈さんのシリーズ最終巻『成瀬は都を駆け抜ける』も、そんな特別な空気をまとった一冊。
滋賀から京都へ。
高校から大学へ。
成瀬あかりという人物が歩いてきた道の続きをそっと見守るように綴られた物語です。
京都という舞台の、静かな輪郭舞台は大学生になった成瀬が暮らす京都。
観光地としての華やかさではなく、生活の気配がゆるやかに漂う“学生の京都”が描かれているようです。
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『新・解きたくなる数学』――問いの形を眺める時間
新しい数学の本を見つけると、中に書かれた数式よりも先に、“どんな問いが待っているのだろう”という気配に惹かれてしまいます。
岩波書店から発売される『新・解きたくなる数学』も、まさにその「問いの気配」を感じさせる一冊でした。
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新・解きたくなる数学
25問の新作。
ひと目で“解いてみたい”と思わせる問題づくり。
そのコンセプトだけで、静かな机の上にひとつの世界がひらく予感があります。
見える問い、見えない仕組み本書は、視覚的なアプローチを重視していると紹介されていました。
写真や図形、配置さ ...
『音楽と科学 心地よくひびく和音の秘密とは』――音の奥にある法則
心地よい和音を聴いたとき、その“気持ちよさ”の正体を言葉にするのはむずかしい。
音が重なった瞬間に生まれる響き、そのわずかな振動の差がどうして感情を動かすのか。
そんな問いに、科学の側から近づこうとするのが、ニュートンプレスのムック『音楽と科学 心地よくひびく和音の秘密とは』です。
音楽を“感じる”ことと“理解する”ことのあいだを、やわらかな図解と鮮やかな写真でつなぐような一冊。
音を聴く行為そのものが、どこか再構築されていくような印象を受けました。
波のかたちで見えるもの本書 ...
エブリシング・ヒストリーと地政学 ―― マネーが描く、世界の裏側の地図
歴史を学ぶとき、いつも「人」や「出来事」に注目してしまう。
けれどこの本のタイトルを見たとき、その背後にある「マネー」という流れに光を当てていることに惹かれました。
『エブリシング・ヒストリーと地政学』(エミン・ユルマズ著)は、マネーが文明を動かしてきた構造を、地政学的な視点で読み解こうとする一冊。
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エブリシング・ヒストリーと地政学 マネーが生み出す文明の「破壊と創造」 [ エミ…
副題には「マネーが生み出す文明の破壊と創造」とあります。
資源戦争 ...
「スマホ時代の『眼』メンテナンス」 目の静けさを取り戻すために
スマートフォンの画面を長く見つめていると、目の奥がじんわりと重くなることがあります。
そんなある日、書店でふと手にとりたくなったのが、眼科医・栗原大智さんによる『スマホ時代の「眼」メンテナンス』という本でした。
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眼科専門医が教える最新知識 スマホ時代の「眼」メンテナンス
タイトルの言葉に、“今”をそのまま映しているように感じました。
スマホやパソコンが欠かせない毎日の中で、知らないうちに目が疲れていることに気づく瞬間。
この本は、そんな現代の生活を見つめ直すた ...