エトミデート「笑気麻酔」と称される電子タバコ(ゾンビ・タバコ)
「電子タバコで吸える新しい『笑気麻酔』……?」と、SNSで軽く書かれていた言葉が、胸に小さな違和感を運んできました。
それが、医療用麻酔薬エトミデートを含む危険ドラッグ「ゾンビ・タバコ」だったと知ったとき、背筋がひんやりとしたのを覚えています。
このドラッグは、沖縄で2025年2月頃から若い世代を中心に乱用が広がり、深刻な救急搬送や事故を引き起こしていることがニュースなどで報道されています。
エトミデートが混入されたフレーバーを、笑気ガスであるかのように偽り、販売していたようです。
まるで「安全で良い気分を誘うものであるかのような」電子タバコのフレーバーに、致命的な毒がひそんでいたのです。
この「効果」は、ほんの数十秒で意識が混濁し、その場に立てないほど身体が硬直、幻覚やけいれん、呼吸抑制を引き起こします。
医療の場では慎重に扱われる薬が、電子タバコで吸引されることで突然、命を脅かす毒に変わるのです。
まるでゾンビのようにふらつき、動けなくなるその様相が、名を「ゾンビ・タバコ」と呼ばせた所以です。
エトミデートを乱用したら「どうなる」か。
その先には、自分の呼吸すら自由にならない凍てついた時間があり、その一瞬の吸引が命取りになる恐れもあります。
厚生労働省は5月26日、エトミデートを「指定薬物」とし、使用・所持・販売すべてを禁止しました。
違反した場合は、「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」、それが営利目的であれば「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」が科せられます。
今や「知らなかった」では済まされない犯罪です。
電子タバコを扱う時、SNSやネット通販で購入した、よくわからないフレーバーを使用せず「本当に安全か」「合法かどうか」を確かめてほしいです。
それが、自分自身と大切な人の未来を守る、小さな問いかけになるかもしれません。
こうした危険が、人知れず広がる例は後を絶ちません。
どうか、少しでも「違和感」を感じたときには、立ち止まって考えてください。
煙の向こう側にある危険性を、あなたの感性で感じ取るために。