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松山智一展 FIRST LAST

現代アートに詳しいわけではないのですが、時々ふと「今の空気を映すような作品」に触れたくなることがあります。

最近、そんな気持ちに導かれるように、松山智一さんの展覧会「FIRST LAST」に興味を持ちました。

 

ポスターで見かけたのは、東京・六本木の森アーツセンターギャラリーでの開催。

大胆な色づかいと力強い構図、そしてどこか物憂げな表情の女性像。

まるで夢と現実のはざまに揺らぐような世界観が、ひと目で印象に残りました。

 

仕事帰りにふらっと立ち寄るには少し距離があるので、ちょうど休みを取った日に、表参道で友人とランチをしたあと、一人で会場に向かいました。

 

展覧会のタイトル「FIRST LAST(ファースト・ラスト)」は、彼がこれまで歩んできた創作の軌跡と、これからの挑戦のはじまりを意味しているそうです。

会場では、代表作から最新の大型絵画までが展示されていて、思っていた以上に見応えがありました。

 

作品の多くには、西洋のクラシックな構図や日本の浮世絵、ストリートカルチャーなどが織り込まれていて、ひとつの絵の中にいくつもの時間や文化が交差しているような感覚がありました。

中でも、渦巻くような花や色彩の中にたたずむ女性像のシリーズは、なぜだかとても静かな気持ちにさせられました。

 

わたしはもともと派手な色より、モノトーンや落ち着いたトーンの方が好きなのですが、不思議と松山さんの作品の中では、その鮮やかさに圧倒されることはありませんでした。

むしろ、強さの中に優しさや揺らぎがあるように感じられて、ずっと見ていられる心地よさがありました。

 

帰り道、駅のホームで電車を待ちながらスマホの写真フォルダを見返していたら、ふと、学生の頃に描いていた水彩画のことを思い出しました。

今では絵を描く機会もほとんどありませんが、誰かに見せるためではなく、自分の気持ちを整理するように描いていたあの感覚は、今のわたしにも必要かもしれないな…と少しだけ思いました。

 

「FIRST LAST」は、華やかさの裏にある孤独や葛藤までもが静かに滲んでいるように感じて、ただ美しいだけではない、深い余韻を残す展覧会でした。

会期は2025年5月11日(日)までとのこと。

アートが好きな方も、普段あまり馴染みのない方も、何かを感じられる空間だと思います。