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成瀬は天下を取りにいく

「成瀬は天下を取りにいく」というタイトルを見たとき、「天下」という言葉に懐かしさと強さの両方を感じました。

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大人になるにつれて、そういう言葉はどこか子どもじみた響きを持ってしまうけれど、それでもまっすぐに掲げる姿勢には、心を動かされます。

 

成瀬あかりという主人公は、どうやら一風変わった中高生のようです。

閉店前の百貨店に通い続けてテレビに映りたいとか、自分の髪で成長実験をするとか。

そうした行動は“突飛”と表現されがちだけれど、それは「誰かのまねではない自分」でいるということでもあると思います。

“普通じゃない"のは強さかもしれない

わたしがこの本に惹かれたのは、たぶん成瀬という存在が、誰とも比べず、ただ黙々と自分のやりたいことに向かっているから。

誰かを蹴落とすわけでも、すごさを誇るでもなく、自分のやりたいことを信じきって行動している姿は、読んでいないわたしにさえ、すっと光が差し込むように感じられました。

 

そして、成瀬自身の視点だけでなく、まわりの人たちから見た彼女の姿が描かれているという構成にも魅力を感じます。

わたしたちは誰かの目を通して、自分を知っていくのかもしれませんね。

いつか読む日のために

でも、滋賀の大津という土地の匂いや、まっすぐな視線、そしてちょっとくすっと笑える日常の風景が、目の前に浮かぶような気がしました。

静かであたたかく、そしてちょっと痛い青春小説。

そんな一冊として、いつか読む日が楽しみになりました。

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