ルイ・ヴィトン『ビジョナリー・ジャーニー』展|トランクの灯が導く、静かな旅の始まり
先日、近くの美術館の前を通りかかって、見たことのない展覧会の告知に吸い寄せられました。
タイトルは『ビジョナリー・ジャーニー』展。ルイ・ヴィトンの創業170周年と大阪・関西万博を記念して、大阪中之島美術館で開催されているそうです。
この展覧会は、12のテーマに分かれてメゾンの歴史をたどる没入型の展示とのこと。
初めに迎えてくれるのは、モノグラム和紙で包まれた巨大なトランクが吊るされた「アトリウム」と、138個のトランクで構成されたドーム像。
どちらも、まるで本のページをめくるような静かな導入になっているようでした。
展示には、1000点を超えるアーカイブ資料が並んでいて、そのうち200点以上は日本との関わりをテーマにしたものだとか。
村上隆や草間彌生、川久保玲との協働の展示もあるようで、ルイ・ヴィトンと日本との深い結びつきが、旅のように浮かび上がるそうです。
空間構成を手がけたのは、建築家・重松象平。
吊りトランクの演出や浮遊するたたみプラットフォームなど、展示そのものが静かな詩のように空間に溶け込んでいると聞きます。
トランクに託された記憶や、日本の美意識と手わざが交差する空間には、言葉を使わない豊かさがきっとありそう。
大阪までは距離がありますが、この夏、この展覧会を訪れて「旅のこころ」にそっと触れてみたい、そう思っています。