わたしたちの歳時記
『わたしたちの歳時記』というタイトルを見たとき、「これはわたしの好きな本かもしれない」と直感しました。
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著者が杉浦さやかさんであること、そして“歳時記”という言葉が使われていることに、やわらかな期待を感じています。
この本では、1月から12月まで、それぞれの月に寄り添うような行事や過ごし方が、イラストとエッセイで描かれているようです。
レビューを読んでいると、「季節を追いかける」というより、「季節と一緒に歩いている」ような感覚になるとありました。
その言葉が妙に腑に落ちて、わたしの中にも確かなイメージが立ち上がります。
春の始まりにお気に入りの紅茶を選ぶこと。
夏に風鈴を窓辺に置いてみること。
秋に読みたい本を探すこと。
冬に湯たんぽと毛糸の靴下で夜を迎えること。
そういう季節の細部を見逃さず、ていねいに記録していくスタイルが、この本の中にはあるのだと思います。
歳時記というと、どこか古典的で、俳句や和歌と結びついている印象がありました。
でもこの本は、もっと現代的で、日々の暮らしの延長線上にある歳時記。
読んでいなくても、その輪郭がうっすらと見えてくるような気がしています。
わたし自身、季節に対して少し過敏なところがあります。
梅雨の朝の空気、秋の光の角度、年末の静けさ。
そうしたものに気づくたび、何かを記録したくなる。
そしてきっと、『わたしたちの歳時記』は、そういう人の気持ちをそっと受け止めてくれる一冊なのだろうと思います。
自分の暮らしと照らし合わせながら、ページをめくっていくのだろうな、と今から少しだけ楽しみにしています。