WhiteLab「パルスリング」と、“電源のいらない指輪”が描く未来
スマートウォッチやリング型デバイスが当たり前になりつつある今、その中でも「充電不要」という言葉には、どこか特別な響きがあります。
WhiteLabが開発中の「パルスリング」は、光によって発電するという新しい仕組みを持ったスマートリング。
外部充電を必要とせず、光さえあれば動作を続ける──そんな未来的な構想を聞くだけで、日常の中のテクノロジーが、静かに新しい段階へ進んでいることを感じます。
指先に宿るテクノロジー
「パルスリング」は、脈拍と体温を計測できるリング型デバイス。
指に装着するだけで、心拍数や体の変化を見守ることができるといいます。
一般的なスマートリングは数日に一度の充電が必要ですが、このリングは光をエネルギー源とするため、コンセントやケーブルから解放されるのが特徴です。
太陽光や室内灯など、360度どの角度からでも光を受けて動作する設計だと聞くと、身につけるものが“生きている”ような感覚さえ覚えます。
「常に動く」安心感
もしこれが実用化されれば、もっとも大きな魅力は「止まらない」ことかもしれません。
健康管理デバイスの弱点は、バッテリー切れによる記録の途切れ。
体調の変化を見逃すこともあります。
けれども、光をエネルギーに変える仕組みなら、毎日の計測が自然に続いていく。
小さなリングひとつで、自分の身体がどんなリズムで動いているのかを静かに見守れるようになると思うと、少し未来が身近に感じられます。
静かなテクノロジーという美しさ
発電の仕組みや通信モジュールなど、まだ詳細は公開されていませんが、コンセプトの段階から「無理をしない技術」という印象があります。
光があれば動く、余計な操作を必要としない、そして環境への負担も少ない。
こうした方向性は、便利さを追い求めるだけのガジェットではなく、「自然と調和する道具」への進化のように感じられます。
災害時や停電中でも動作できるという点も、技術のやさしさを感じる部分です。
まだ見ぬ完成形へ
2025年10月14日~17日、幕張メッセで開かれるCEATECでの展示が予定されているそうです。
今はまだ試作段階にあるとのことですが、リングという限られたスペースにどれだけの機能を詰め込めるのか、精度や耐久性がどこまで実現するのか──それを想像するだけで、少しわくわくしてきます。
機能性や数値よりも、生活の中で自然に寄り添う存在になってほしい。
そう思わせる静かな存在感があります。
おわりに
充電ケーブルをつなぐ手間のない毎日は、きっと思っている以上に穏やかなものになるでしょう。
WhiteLabの「パルスリング」は、技術を誇示するためのデバイスではなく、暮らしの呼吸に溶け込むような装置を目指しているように思います。
その指先で光を受けとめる瞬間を想像すると、テクノロジーがどこか詩的なものに感じられます。