8番出口 小説
地下通路の出口を何度も探すだけのゲーム。
それなのに、プレイ動画を見ているだけで息が詰まりそうになるあの空気感に、なぜか惹かれてしまいます。
そんなゲーム『8番出口』が小説になったと知って、正直なところ、とても驚きました。
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タイトルはそのまま『8番出口』。
著者は川村元気さん。
映画『百花』や『世界から猫が消えたなら』などの脚本で知られている方なので、あの不気味で無機質な空間をどんなふうに文章で描くのか、想像するだけでちょっと鳥肌が立ちます。
「異変」の正体を言葉で追う
ゲームでは「異変を見つけたら引き返す」「見つけなければ進む」というだけの、シンプルなルール。
でも、その「異変」にはどこかじわじわとくる不安や、不条理があって、なぜこんなにも心がざわつくのか、自分でもわかりませんでした。
小説では、その「なにかがおかしい」という直感の正体を、言葉で描いているそうです。
映像では感じ取れなかった“心の動き”が描かれるというのなら、読むことであの世界をもう少しだけ深く理解できるのかもしれません。
「同じ話」なのに双子のような存在
映画版も同じく川村さんが監督されているとのこと。
小説と映画、どちらも「8番出口」という出口のない出口をテーマにしていながら、表現方法はまったく異なるそうです。
ひとつの物語を、映像と文章というまったく違う手段で描き分けるのって、きっとすごく繊細な作業だと思います。
わたしは、こういう“言葉にならない不安”をテーマにした作品がとても好きです。
意味があるのかないのかわからないけれど、無視できない何か。
そういうものに向き合いたくて、本や映画に惹かれるのかもしれません。
「読むことで見えてくる風景」
発売は2025年7月とのこと。
ページ数は176ページ、比較的読みやすそうな分量です。
でも、内容はきっと濃密で、むしろ何度も読み返したくなるような物語かもしれませんね。
“異変”の正体を言葉でどう描いたのか。
ループから抜け出せない理由はどこにあるのか。
読者それぞれの解釈が分かれそうな作品だけに、わたしも自分の感覚で味わってみたいと思いました。